要点:建設分野の特定技能在留外国人数は1号49,323人・2号1,799人(令和7年12月末現在・速報値)。出入国在留管理庁・国土交通省の公表値をもとに、在留資格の種類と概要、2027年開始予定の育成就労制度への移行の方向性、受け入れ側が準備すべきことを整理します。
- この記事の結論
- 建設分野の外国人材の現状
- 在留資格の種類と概要
対象読者:設備工事会社の経営者・採用責任者
この記事の結論
建設分野の特定技能の在留外国人数は、1号49,323人・2号1,799人(令和7年12月末現在・速報値、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」)です。出入国在留管理庁の公表値による数値で、建設業就業者全体に占める割合はまだ小さく、「外国人材だけで人手不足を解消する」ものではないのが実態です。一方で制度面は大きく動いており、2027年開始予定の育成就労制度へ一本化が進められる方向です。受け入れ側にとっては、「今の特定技能で受け入れている人材をどう育て、制度変更にどう対応するか」の設計が今後の鍵になります。なお、将来の人数予測は公表値からは出せないため、本稿では方向性のみを定性で扱います。
建設分野の外国人材の現状
特定技能の在留者数
出入国在留管理庁の公表値(国土交通省の資料が引用)によると、建設分野の特定技能在留外国人数は次のとおりです。
| 項目 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 49,323人(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」) | 令和7年12月末現在・速報値 |
| 特定技能2号 | 1,799人(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」) | 令和7年12月末現在・速報値 |

出典: 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」(公表ページ、ポイントPDF(令和7年12月末)、2026-09-11取得)。基準日・母集団(在留者ベース)を含む統計の読み方については「建設業で働く外国人労働者は何人か」に整理しています。
この数字を読むときの注意
- 特定技能1号と2号で役割が大きく異なります。1号は熟練の手前にあたる領域、2号はより高度な技能を持ち、熟練技能者としての在留が認められる領域です。2号が1,799人(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」)であることは、キャリアパスの上流(2号への移行)がまだ薄いことを示しています
- 建設業就業者全体の規模と比べれば、約5万人(1号・2号合計)はまだ小さな数字です。人手不足への対応の主戦場は依然として国内人材の確保・育成であり、外国人材は補完的な労働力として位置づけて考えるのが妥当です
- 「将来この人数が何倍になる」といった予測は、公表値だけからは導けません。制度設計や運用の変更次第で動くため、本稿では数字を作らず方向性のみを扱います
在留資格の種類と概要
建設分野に関係する主な在留資格は、次のように整理できます。
| 在留資格 | 概要 | 建設分野での位置づけ |
|---|---|---|
| 技能実習 | 実習を通じて技能等を修得する制度。母国での修得を目的とする「国際貢献」の性格を持つ | 現場の実務を学ぶ入口として機能してきた |
| 特定技能1号 | 相当程度の知識・経験を要する業務に就ける在留資格。建設分野では技能試験と日本語試験の合格が必要 | 49,323人が在留(令和7年12月末現在・速報値、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」)。即戦力としての受け入れの中核 |
| 特定技能2号 | より高度な技能を要する業務に就ける在留資格。在留期間の更新が長期的に可能 | 1,799人(同速報値、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」)。熟練層としてのキャリアパスだが、まだ規模は小さい |
| 育成就労(2027年開始予定) | 技能実習と特定技能を一本化する方向で整備が進められる新制度 | 修得→資格取得→就労という一貫した育成の道筋を作ることがねらい |
設備工事会社が確認すべき制度ポイント
対象業務は「ライフライン・設備」区分に含まれる
令和4年8月30日の制度再編により、建設分野の特定技能の業務区分は、従来の区分から【土木】【建築】【ライフライン・設備】の3区分に統合されました。このうち設備工事に関係する電気工事、配管、保温保冷、電気通信などの業務は「ライフライン・設備」区分が対象です。特定技能1号の技能評価試験も同じ3区分に統合されています(外国人建設就労者受入れ機構(JAC)の案内、2026-09-11取得)。つまり、電気工事・管工事を主力とする設備会社は、特定技能建設の受け入れ対象業務と直接重なる領域を持っています。
受け入れ人数には「常勤職員数まで」の上限がある
建設分野では、特定技能1号で受け入れる外国人の数が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないことが要件とされています(出入国在留管理庁「建設分野」、2026-09-11取得)。自社の常勤職員数を分母に受け入れ可能枠を計算するため、「何人まで受け入れられるか」は会社の規模から逆算して確認することになります。細部の算定方法はJACの「外国人受入れマニュアル」や建設特定技能受入計画の認定要件で確認してください。
育成就労制度への移行: 何が変わる方向か
制度の整理
2024年に成立した制度改正を踏まえ、2027年開始予定で育成就労制度への一本化が進められる方向です。国土交通省の資料でも、技能実習と特定技能を整理し、育成就労を軸に再編する方向性が示されています。制度移行の整理を表にすると、次のとおりです。
| 項目 | 従来の構造 | 育成就労制度(2027年開始予定)の方向 |
|---|---|---|
| 制度の構成 | 技能実習と特定技能が別制度として併存 | 育成就労を軸に一本化が進められる方向 |
| 育成の道筋 | 実習→特定技能への移行が制度的に分断されがち | 修得→資格取得→就労への一貫したパスを目指す方向 |
| 目的の位置づけ | 技能実習は母国への技能移転を主目的 | 人材の育成・確保の性格が強まる方向 |
| キャリアパス | 特定技能2号への移行が薄い(1,799人、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」) | 上位資格への移行が設計されやすい方向が期待される |
移行期に受け入れ側が読んでおくべきこと
- 制度名・要件は確定後に確認が必須。2027年開始予定であり、運用細部は今後詰まる可能性があります。本稿では「方向」としてのみ記述し、確定情報として断定しません
- 既に受け入れている人材の扱いの経過措置は、公式発表を追うしかありません。現行制度で受け入れている人が制度移行の途上でキャリアを失わない設計が、事業者側の責務になります
- 教育体制は制度名が変わっても必要条件。どの制度でも「外国人人材を現場の戦力まで育てる」構造は同じであり、むしろ一本化後は育成の道筋が明確になる分、受け入れ側の教育設計が問われやすくなります
関東の工場設備会社156社の社内観測から
私自身の調査(関東の工場設備会社156社の公式サイト観測)の範囲では、外国人採用への対応——多言語対応や外国人向け安全教育の整備——を明示している会社は観測の範囲では限定的でした。あくまで定性表現での観測であり、割合の集計はしていません。
同様に、電気工事会社100社の調査(2026-09公開)でも、外国人採用対応の明記は観測の主題外として個別集計しておらず、断定的な数字は出せません。つまり、中小設備会社のレベルでは外国人材の受け入れ準備が「整っている会社」よりも「まだ手がけていない会社」のほうが一般的である可能性が高い——これが社内観測から言える範囲の読みです。
だからこそ、制度が動くこの時期に受け入れ準備を進めることは、数年後の採用市場で差別化要因になり得ます。人手不足の構造自体については「建設業界の人手不足2026年版」で整理しています。
受け入れを検討する側への示唆
観測事実と公表値から導ける判断の目安は、次の3点です。
- 数字だけで判断しない。約5万人という現状の規模は建設業就業者全体の中ではまだ小さいものの、制度が2027年に向けて動くことで、受け入れの道筋は整えられていく方向です。制度の変化を前提に、数年スパンで準備する視点が合理的です
- 育成設計が受け入れの本質。特定技能2号が1,799人(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」)にとどまる現状は、「受け入れて終わり」の会社が多いことの表れかもしれません。1号で受け入れた人材を2号相当まで育てるパスを社内に作れるかが、長期的な労働力確保の分かれ目です
- 安全教育・多言語対応は投資ではなく必須コスト。観測した限り明示している会社は限定的でしたが、受け入れの質を左右するのはここです。外国人エンジニアの定着については「設備会社の外国人エンジニア定着」で詳しく扱っています
よくある質問
Q. 外国人材の受け入れには何を準備すればよいですか?
登録支援体制・技能試験と日本語試験の合格要件の把握・安全教育の多言語化・住居や生活支援の整備が主な準備項目です。特に中小設備会社では、安全教育の翻訳資材と指導者の育成が最初のボトルネックになりやすい点を、社内観測でも確認しています。まずは自社の工種が建設分野の対象業務に当てはまるかを確認するところから始めてください。
Q. 外国人材の教育で、特に大事なポイントは何ですか?
「日本語での安全指示が確実に伝わる仕組み」を最優先にしてください。単発の翻訳資料ではなく、絵文字・図解を使った作業手順書、指差確認の習慣化、日本語指導担当の配置といった構造的な対応が、現場の安全と定着の両方に効きます。育成就労制度への一本化後は、修得から就労までの一貫した育成が制度のねらいになるため、教育設計の重要性はさらに高まる方向です。
Q. 2027年からの制度変更にどう対応すればよいですか?
まず現行の特定技能・技能実習で受け入れている人材の経過措置を国の公式発表で確定情報として追うことが第一です。そのうえで、新制度の要件が確定した時点で、登録支援体制や教育プログラムを要件に合わせて点検し直すのが現実的な順序です。確定前の段階で慌てて体制を組み替える必要はなく、「教育の本質部分(安全・日本語・技能の段階設計)」を先に固めておけば、制度変更への対応コストは最小化できます。
参考文献・出典
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」: https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html(2026-09-11取得・在留者数の一次出典)
- 出入国在留管理庁「建設分野」: https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/construction.html(2026-09-11取得・常勤職員総数の上限要件)
- 外国人建設就労者受入れ機構(JAC)「建設分野の特定技能に係る業務区分の変更について」: https://jac-skill.or.jp/news/information/change-exam-category2022.php(2026-09-11取得・3区分統合と試験区分)
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