要点:建設業で働く外国人労働者は何人か。厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点・建設業206,468人)と出入国在留管理庁の特定技能統計(建設分野)について、母体・在留資格区分・基準日という3つの確認点を踏まえた数値の読み方と、設備会社の確認ポイントを解説します。
- この記事の結論
- まず母体を確認する:この統計は何の集計か
- 全体の構造:令和7年10月末時点
対象読者:設備工事会社の施工管理者・育成担当者
この記事の結論
厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月30日公表)によると、建設業で働く外国人労働者は206,468人(前年比+16.1%)で、雇用事業所数は50,133所です。全産業の外国人労働者数2,571,037人に占める割合は8.0%ですが、事業所に占める割合は13.5%と高く、外国人雇用が産業平均より進んだ事業所単位の業種であることが観測されます。ただしこの数値は、雇用対策法に基づく「外国人雇用状況」の届出を集計したものであり、届出のない労働者は含まれないため、日本で働く全ての外国人の数ではありません。本記事では、この統計を「母体・在留資格区分・基準日」の3点で確認する読み方と、設備会社が数字を使うときの確認ポイントを整理します。
まず母体を確認する:この統計は何の集計か
「外国人労働者は何人」という疑問には、母体の異なる複数の公的統計が存在します。
| 統計 | 作成主体 | 集計の母体 |
|---|---|---|
| 「外国人雇用状況」の届出状況 | 厚生労働省 | 事業主からの届出(雇用対策法に基づく)の集計 |
| 在留外国人統計 | 出入国在留管理庁 | 在留資格を持って日本に滞在する人の在留許可ベースの集計 |
| 特定技能在留外国人数 | 出入国在留管理庁 | 特定技能の在留資格に絞った集計 |
よく使われる「建設業の外国人労働者数」は、通常1行目の厚労省統計を指します。届出ベースである以上、届出の漏れや遅れがあれば母数に反映されず、また在留しているだけで働いていない人(在留外国人統計には載る)は含まれません。「この統計の数値=建設業で働く全ての外国人」と読み替えないことが、数値利用の前提条件です。引用するときは「厚生労働省『外国人雇用状況』の届出状況(令和7年10月末時点)」と調査名・基準日を必ずセットで書いてください。
全体の構造:令和7年10月末時点
同まとめ(別添の統計表)によると、令和7年10月末時点の全体数値は次のとおりです。
- 外国人労働者数:2,571,037人(対前年比 +11.7%)
- 外国人を雇用する事業所数:371,215所
- 国籍別上位:ベトナム 605,906人(23.6%)、中国 431,949人(16.8%)、フィリピン 260,869人(10.1%)
- 在留資格別では、技能実習499,394人、特定技能286,225人
建設業の数値:206,468人とその内訳

人数と事業所数
建設業(日本標準産業分類上の「建設業」)の外国人労働者数は206,468人で、対前年比は+16.1%でした(出典は冒頭で述べた厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」。以下の表も同様)。過去5年間の推移(いずれも各年10月末時点)は次のとおりです。
| 年10月末時点 | 建設業の外国人労働者数 | 対前年増加率 |
|---|---|---|
| 令和3年 | 110,018人 | -0.8% |
| 令和4年 | 116,789人 | +6.2% |
| 令和5年 | 144,981人 | +24.1% |
| 令和6年 | 177,902人 | +22.7% |
| 令和7年 | 206,468人 | +16.1% |
事業所数は、令和3年の33,608所から令和7年には50,133所(+11.9%)に増えています。増加率の水準として観測できるのは、伸びが続いている一方で、直近2年(令和6年+22.7%→令和7年+16.1%)で増加率は鈍化している点です。この数字を「建設業は外国人に頼り切っている/まだ余裕がある」といった断定に使うのではなく、届出ベースの観測値の推移として扱ってください。
在留資格別の内訳
同調査の在留資格別・産業別表(令和7年10月末時点)では、建設業の内訳は次のとおり観測されています。
| 在留資格 | 建設業の人数 | 備考 |
|---|---|---|
| 技能実習 | 119,868人 | 技能実習全体(499,394人)の24.0% |
| 特定技能 | 26,965人 | 特定技能全体(286,225人)の9.4% |
| 技術・人文知識・国際業務 | 19,849人 | いわゆる専門職区分 |
| 特定活動 | 13,391人 | — |
| 身分に基づく在留資格 | 23,326人 | うち永住者 12,057人 |
建設業では技能実習の比重が高い構造が観測されます。国籍別では、ベトナム74,471人、インドネシア51,531人、フィリピン22,807人、中国15,694人、ミャンマー9,942人という内訳です(いずれも令和7年10月末時点)。
特定技能の建設分野:出在留管理庁の数値
特定技能の建設分野については、出入国在留管理庁が別に集計を公表しています。同庁の「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末現在・速報値)によると、建設分野は以下のとおりです。
- 特定技能1号:49,323人
- 特定技能2号:1,799人
注意すべきは、この数値は在留資格(特定技能)の観点から建設分野を数えたものであり、先ほどの厚労省統計の「建設業の特定技能26,965人」とは基準日も母体も異なる点です。厚労省統計は令和7年10月末時点の届出ベース、出在管統計は令和7年12月末現在の在留者ベースです。2つの数値を並べて「矛盾している」と判断するのは誤りで、基準日と母体を揃えてから比較する必要があります。特定技能は転職(他分野・他産業への移動)が制度上あり得るため、在留者数と特定産業分野での就労者数の関係も変わります。引用時は必ず「出在留管理庁・令和7年12月末現在・速報値」と明記してください。
制度面の動きとして、技能実習と特定技能を統合する育成就労制度(2027年施行予定)への一本化が整備されており(国土交通省 資料)、受け入れ側は「現在の在留資格の人数」だけでなく「制度移行期であること」を前提に受け入れ設計を見直す時期にあります。移行後の人数が現在の統計とどう接続されるかは、制度施行後の公表値を待つしかありません。
設備会社がこの統計を使うときの確認ポイント
設備会社の採用・経営の文脈で外国人雇用の統計を使う場合、次の確認ポイントを推奨します。
- 調査名・基準日・母体を必ず明記する。「建設業の外国人は20万人」ではなく「厚労省『外国人雇用状況』の届出状況(令和7年10月末時点)における建設業206,468人」と書く。届出ベースであり、全ての外国人労働者ではない点もセットで書く
- 在留資格区分を混ぜない。技能実習・特定技能・専門職区分・身分に基づく在留資格は、採用経路・受け入れ体制・できる業務の範囲が異なる。合計値だけを見て「外国人材」と一括りにしない
- 基準日の違う統計を足し算しない。厚労省(10月末)と出在管(12月末)の数値は別の観測であり、合算した「建設業の外国人76,288人」(厚労省の特定技能26,965人+出在管の建設分野49,323人)のような数字を作らない(本記事でも作っていません)
- 社内での説明には「傾向」として使う。増加率の鈍化や技能実習の比重などは観測された傾向であり、これらから自社の採用戦略が自動的に導かれるわけではない。自社の実測(応募数・定着数)と組み合わせて初めて意思決定の材料になる
外国人技術者の受け入れ後に定着を管理する視点は「外国人技術者が定着しない理由とは?設備会社が採用後にやるべき7つのこと」で、若手人材の採用環境全体の捉え方は「高卒求人倍率4倍超の時代、設備会社はどう採用すべき?」で解説しています。統計の水準感と自社の実測を並べて使うのが、このテーマの正しい使い方だと考えています。
なお、本記事では建設業の人手不足の将来推計に関する数値(特定の減少数・引退者数のお見積りなど)は掲載していません。出典を確認できた観測値のみを扱うためです。将来推計を使う場合は、必ず原典の推計方法(前提・シナリオ)まで確認してください。
よくある質問
Q. この統計で「建設業で働く全ての外国人」が分かりますか?
分かりません。厚労省の「外国人雇用状況」の届出状況は、事業主からの届出を集計したものです。届出のない労働者は含まれず、また在留しているだけで雇用されていない人は対象外です。出在留管理庁の在留外国人統計とも母体が異なるため、「全ての外国人の数」として読み替えないでください。
Q. 厚労省の「建設業の特定技能」と出在管の「建設分野の特定技能」は同じ数値ですか?
いいえ。厚労省統計では令和7年10月末時点で建設業の特定技能は26,965人(届出ベース)、出在管統計では令和7年12月末現在で建設分野の特定技能1号49,323人・2号1,799人(在留者ベース・速報値)です。基準日も集計方法も異なるため、並べて比較するときは出典と基準日を必ずセットで明記してください。
Q. 建設業の外国人労働者の増加は今後も続きますか?
本記事では予測しません。本記事で確認できるのは、届出ベースの観測値が令和3年以降増加し続けていること、直近の増加率が鈍化していることまでです。将来の推計を引用する場合は、出典の推計方法と前提まで確認したうえで、推計であることを明示してください。
まとめ
- 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)では、建設業の外国人労働者は206,468人(+16.1%)、雇用事業所は50,133所
- 建設業の内訳は技能実習119,868人を中心に、特定技能26,965人、専門職区分19,849人など(同調査)
- 特定技能の建設分野は、出在留管理庁の集計(令和7年12月末現在・速報値)で1号49,323人・2号1,799人
- 届出ベース・在留資格区分・基準日の3点を確認せずに数値を使うと、別母体の数字の混在が起きる
- 統計は「観測された傾向」として扱い、自社の実測と組み合わせて使う
参考文献
- 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月30日公表): https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html
- 同・別添「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和7年10月末時点)PDF(別表1・別表4・別表6・別表7、参考2・参考6を確認): https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001646131.pdf
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末現在)」公表ページ: https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数概要版(令和7年12月末現在)」PDF(第1表・特定技能1号/2号の建設分野を確認・速報値): https://www.moj.go.jp/isa/content/001459470.pdf / https://www.moj.go.jp/isa/content/001459471.pdf / https://www.moj.go.jp/isa/content/001459472.pdf
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