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電気工事士の給与は公開されているか?2つの観測から読む開示の実態

smart_toy AIによる3行まとめ
電気工事会社の給与公開は少数派 給与明記は観測可能40社中3社 公的統計と求人情報を併用すべき
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要点:電気工事士の給与情報の公開状況を、電気工事会社100社の採用サイト調査と関東の工場設備会社156社の観測の2つのデータから整理。観測の分母と欠測ルール、公的統計との向き合い方、賃金情報の確認導線までを解説します。

  • この記事の結論
  • 2つの観測の比較
  • 観測の方法(分母・欠測ルール)

対象読者:設備工事会社の経営者・採用責任者

この記事の結論

「電気工事士の給与」と検索したときに出てくる情報は、公的統計か個別の求人票のどちらかに寄りがちで、会社が自ら給与を公開している割合は極めて小さいのが実態です。電気工事会社100社の採用サイト調査(2026-09公開)では、給与の明記は観測可能分母40社中3社(7.5%)にとどまり、年間休日の明記は5.0%でした。一方、関東の工場設備会社156社の観測では、採用ページに到達できた会社で月給27万円〜、年間休日105日・完全週休2日といった条件の明記が個別に観測されています。つまり「公開されている会社は実在するが、少数派」というのが2つの観測から読み取れる結論です。

2つの観測の比較

本稿で使うのは、性質の異なる2つの観測データです。まず全体像を比較します。

表1: 2つの観測の比較(項目・観測①: 電気工事会社100社の採用サイト調査・観測②: 関東の工場設備会社156社の観測)
項目観測①: 電気工事会社100社の採用サイト調査観測②: 関東の工場設備会社156社の観測
時点2026-09公開2026-09-10時点(社内観測)
対象電気工事会社の採用サイト100社関東の工場設備工事会社156社
主な結果給与の明記 7.5%(観測可能分母40社中3社)・年間休日の明記 5.0%採用ページ到達会社で、月給27万円〜、年間休日105日・完全週休2日などの明記を個別に観測
データの性格明記の「割合」を数えられる調査明記の「実例」を記録する観測
出典電気工事会社の採用サイト100社調査関東156社の採用情報観測

この2つは補い合う関係にあります。観測①は「どのくらいの割合の会社が給与を書いているか」の分母を与え、観測②は「書いている会社は実際に何を書いているか」の具体を与えます。割合だけでは中身が見えず、実例だけでは希少性が分からないためです。

観測の方法(分母・欠測ルール)

電気工事会社100社のうち観測可能40社、給与明記3社(7.5%)と未観測60社(欠測)の構造を示した分母ファネル図。

調査系の数字を正しく読むために、最も重要なのが分母と欠測の扱いです。

  • 分母の定義: 観測①の給与明記率7.5%は、分母を100社ではなく「観測可能だった40社」としています。採用サイト自体を確認できなかった会社や、採用ページに到達できなかった会社は分母から除外し、「給与を書いていない」ではなく「確認できなかった(欠測)」として扱いました
  • 欠測ルール: ページが確認できない=募集していない・給与を公表していない、とは断定しません。人材紹介経由のみの募集や、求人票内でのみ条件を開示している可能性は常に残ります。これはunknown_not_observed(未観測)の考え方です
  • 観測②の限界: 関東156社の観測は分母が小さく、給与の明記例も個別の記録にとどまるため、電気工事士の給与水準を断定的に比較する用途には使えません。水準そのものを見たい場合は後述の公的統計に当たるのが安全です

つまり本稿の数字はすべて「観測できた事実の記録」であり、業界全体を推定するものではありません。観測できなかったことを、存在しないことと取り違えない。この区別が、給与のようなセンシティブな情報の調査では特に重要になります。

公的な賃金情報と海外の参考データ

会社単位の観測と併せて、職種別の水準を知るには公的統計が一次情報になります。

表2: 公的な賃金情報と海外の参考データ(情報源・内容・使い方)
情報源内容使い方
厚生労働省 賃金構造基本統計調査職種別賃金の一次情報。電気工事士相当の職種の賃金水準を確認できる「自分の会社の給与が水準としてどう位置するか」の基準線に使う
米労働統計局(BLS)米国の電気工事士の年収中央値は63,190米ドル(2025年5月時点)職種の市場性を海外と比較する参考。制度・労働市場が異なるため直接比較はしない

応募者側は「公的統計の水準」と「個別会社の開示例」を突き合わせて判断することになりますが、開示例が7.5%しかないのが問題です。会社側の視点では、これは言い換えれば「給与を明記するだけで、書いていない大多数に対する差別化信号になる」ということでもあります。給与水準そのものの読み方については「電気工事士の給与とキャリア」で整理しています。

会社側への示唆

2つの観測から導ける判断の目安は次のとおりです。

  • 給与の非開示は「書けない」と推測されるリスクと引き換え。明記している会社が実在する以上、書かないことの情報的な不利は大きい
  • 給与だけでなく休日条件のセット開示が有効。観測②では月給27万円〜と年間休日105日・完全週休2日がセットで確認されており、応募者視点では単独の給与額より判断しやすい
  • 分母から漏れる状態(採用ページへの導線不足)は、開示以前の問題。そもそも採用ページが観測できなければ、条件を整備していても候補者に届かない

自社がどの程度公開できているかの点検には、採用情報の公開状況を診断するを利用できます。

よくある質問

Q. 給与の明記率7.5%は、業界全体でも7.5%ということですか?

いいえ。これは観測①(電気工事会社100社、うち観測可能40社)での記録であり、母集団を業界全体とみなすものではありません。分母の定義と欠測ルールが調査ごとに異なるため、他の調査と数字を直接比較することも避けるべきです。

Q. 観測②の「月給27万円〜」は電気工事士の標準的な給与ですか?

断定できません。観測②は分母が小さく、個別の明記例の記録にとどまるためです。水準の基準線としては厚生労働省の賃金構造基本統計調査を参照し、観測②の数字は「明記している会社も実在する」ことの実例として使うのが適切です。

Q. 米国の年収中央値63,190米ドルは日本の給与と比べられますか?

単純比較は推奨しません。労働市場・資格制度・賃金構造が異なるためです。BLSのデータは「電気工事士という職種が海外でも市場性を持つ」ことの参考材料として捉えるのが妥当です。

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井上 裕太
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井上 裕太

代表取締役

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設備工事会社の採用・育成・Capacityを、業務設計と検証の観点から研究しています。

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