要点:生成AIの普及で書類の信頼性が崩れ、書類選考の縮小・廃止に着手した企業は86.7%に達しました。NALYSYS調査の一次データで書類選考廃止の実態を確認し、元々書類の信号が弱い設備工事の採用にこの流れをどう適用すべきかを整理します。
- この記事の結論
- 1. データ: 書類選考はどう変わったか
- 2. 設備工事の採用は元々「書類の信号が弱い」
対象読者:設備工事会社の採用担当者・経営者

この記事の結論
書類選考を軸にした選考は、生成AIの普及で機能しなくなっています。NALYSYS(レバレジーズ)の調査(n=1,625、2026年2月)では、「生成AI普及で書類では人物見極めが難しくなった」企業が69.7%に達し、書類選考の廃止・縮小に着手または検討した企業は合計86.7%です。
この流れは大企業の新卒採用で起きていますが、設備工事の採用にとっては「新たな問題」ではなく「元々抱えていた構造が標準になった」と捉えるのが正確です。本記事では、書類選考廃止の実態データと、設備工事の選考設計への適用条件を整理します。
1. データ: 書類選考はどう変わったか
書類選考の見直しは86.7%に達する
基準緩和+廃止(間口拡大)に進んだ企業
- 廃止済み 13.8%
- 廃止検討 34.1%
- 重要度を下げる予定 38.8%
- それ以外 13.3%(残差・算出値)
出典: NALYSYS調査(2026年2月、n=1,625)。「それ以外13.3%」は100-86.7の算術計算値。
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| 調査項目・設問 | 比率・実績値 | 採用実務への影響・示唆 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 生成AI普及で見極めが困難化 | 69.7% | ESや自己PRのAI代筆普及により、書類の文章力による選別が無効化 | NALYSYS調査(2026年2月, n=1,625) |
| 書類選考の見直し(間口拡大) | 86.7% | 廃止済13.8%、廃止検討34.1%、重要度低下予定38.8%が移行中 | NALYSYS調査(2026年2月, n=1,625) |
| 選考プロセス見直しの主たる効果 | 52.8%(効果第2位) | 書類選考を排して早期面接にシフトすることで選考工数・期間を短縮 | NALYSYS調査(2026年2月, n=1,625) |
| 大手企業の書類廃止事例 | ロート製薬など | 新卒採用での書類選考完全廃止・適性検査や面接重視へ移行 | 日本経済新聞 報道 |
動きの速い企業の例として、ロート製薬が新卒採用の書類選考を廃止したことが報じられています(日本経済新聞)。応募者のESを生成AIが書ける時代に、書類の文章力を評価することは成立しにくくなりました。
2. 設備工事の採用は元々「書類の信号が弱い」
ここからは、調査データへの適用というより選考設計上の整理です(業界一般の観察に基づく判断であり、設備工事を対象にした調査結果ではありません)。
設備工事の採用では、そもそも書類で判断できる情報が少ない構造があります。
- 職務経歴の標準化が薄い:「〇〇現場に2年従事」という記述だけでは、現場規模・職務範囲・裁量権が分からない。大企業の新卒採用と違い、職務経歴書のフォーマットが応募者ごとにバラバラです
- 資格は確認事項であって評価ではない: 電気工事士や施工管理技士の保有は事実確認であり、現場での実力を直接示しません(「資格者募集」だけでは採れない理由を参照)
- 未経験層には書類が存在しない: 未経験採用の母集団では、書類で差がつく項目が最初からない(未経験者採用の戦力化を参照)
つまり設備工事では「書類選考の精度が下がった」のではなく、書類選考の精度が元々限界に近かった領域が、いまや選考の主流設計になったと考えられます。書類を外すことに大きな抵抗はないはずです。
3. 面接中心の選考へ移行する3つの条件
書類を薄くする・外す設計に切り替える場合、次の3点を先に整える必要があります。
- 面接の受け皿体制: 間口を広げると面接工数が増えます。NALYSYS調査でも効果2位は「選考にかかる時間・工数の削減」(52.8%)ですが、これはAI面接や一次面接の設計とセットで初めて実現します(採用工数を本当に削減する工程の選び方を参照)
- 面接の評価基準: 面接が唯一の選考手段になると、面接官の評価バラつきが合否を直接決めます。構造化面接(質問と評価尺度の事前設計)は研究上、最も予測精度の高い選考手段です(設備工事の採用面接に評価基準が必要な理由を参照)
- 内定後の接触設計: 間口が広がるほど、面接で会えなかった時間の情報不足を内定後に補う設計が必要です。辞退率の上昇(中途15.0%)を踏まえると、内定〜入社の接触は選考設計の一部として計画します(設備工事の内定辞退の構造を参照)
4. AIの使いどころの境界
書類選考を外した後の工程にAIを入れる場合、効果と限界のデータは揃っています。採用業務へのAI導入率は47.9%(出典: AI×採用実態調査)、導入企業の73%が工数削減を実感する一方、約半数は決定数の向上を実感していません(AI採用を導入したのに決まらない理由)。AI面接の運用も6割超の企業が人間の最終確認を併用するハイブリッド型です(出典: AI面接導入に関する実態調査)(AI面接の導入率と実態)。技能職採用では「現場での行動」を見る必要が高いため、AIは選考の前段(応募対応・日程調整・一次スクリーニング)に置き、人間の面接で行動を確認する構造が現時点では整合的です。
まとめ
- 書類の人物見極めが困難になった企業は69.7%、書類選考の見直しに着手した企業は86.7%(出典: NALYSYS、n=1,625)
- 設備工事は書類の信号が元々弱い領域であり、面接中心設計への移行コストは低い
- 移行の前提は「面接の受け皿体制・評価基準・内定後接触設計」の3点
- AIは前段工程に置き、行動確認は人間の面接に残すのが現時点の整合的な設計
よくある質問
Q. なぜ書類選考を廃止する企業が増えているのですか?
生成AIの普及でESや自己PRをAIが代筆できるようになり、書類の文章力による選別が機能しなくなったためです。NALYSYS調査(2026年2月、n=1,625)では「生成AI普及で書類では人物見極めが難しくなった」企業が69.7%に達し、書類選考の廃止・縮小に着手または検討した企業は合計86.7%です。効果としては、早期面接へのシフトによる選考工数・期間の短縮(52.8%)が挙げられています。
Q. 設備工事の採用はなぜ書類選考を外しやすいのですか?
元々書類の信号が弱い領域だからです。職務経歴の標準化が薄く、「〇〇現場に2年従事」という記述では現場規模・職務範囲・裁量権が分からないこと、資格の保有は事実確認であって現場での実力を直接示さないこと、未経験採用の母集団では書類で差がつく項目が最初から存在しないことが挙げられます。
Q. 面接中心の選考へ移行する際に、先に整えるべきことは何ですか?
3つの条件があります。間口を広げた分の面接工数に耐える受け皿体制、面接官の評価バラつきが合否を直接決めないための構造化面接などの評価基準、そして辞退率の上昇(中途15.0%)を踏まえた内定後の接触設計です。AIは応募対応・日程調整・一次スクリーニングなど選考の前段に置き、現場での行動確認は人間の面接に残すのが現時点では整合的です。
出典
- 新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査 — 日本の人事部(レバレジーズ株式会社NALYSYS、2026年2月13日〜16日実施、n=1,625、実査GMOリサーチ&AI)
- 日本経済新聞: ロート製薬 新卒採用の書類選考廃止
- AI×採用実態調査 — 株式会社フォワード(PR TIMES)(2025年10月、n=376)
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