要点:設備工事会社の公開情報調査で起きる同名企業・住所変更・グループ会社・支店の混同を、法人番号・公式サイト・住所・履歴・Evidenceで解決する方法を整理します。
- この記事の結論
- なぜ会社名だけでは危険なのか
- Entity Resolutionの基本フロー
対象読者:設備工事会社の採用担当者・経営者
この記事の結論
企業名だけで設備会社の情報を結合すると、同名企業、グループ会社、支店、旧住所を誤って一つの会社として扱う危険があります。
Equipment Intelligenceでは、少なくとも次の情報を別々に照合します。
- 法人名
- 法人番号
- 住所と住所の時点
- 公式サイトと会社概要
- グループ会社・支店・営業所の関係
- Evidence URLと観測日時
一致しない場合は、無理に一つへ結合しません。same_name_or_address_conflict、manual_review_required、public_entity_verified_no_official_siteなど、状態を残したまま次の確認へ回します。
なぜ会社名だけでは危険なのか
「株式会社アクティス」「大洋工業株式会社」「ファステック株式会社」のような一般的な社名は、複数の法人に存在することがあります。
また、同じ企業でも次のような差分が起きます。
- 法人の本店を移転した
- Seedデータが親会社の住所を記録している
- 公式サイトが支店ページを掲載している
- グループ会社のサイトに子会社が掲載されている
- 登記住所と公式サイトの建物名・番地表記が異なる
これらをすべて「住所不一致」として捨てるのも、すべて「同じ会社」として結合するのも不正確です。
Entity Resolutionの基本フロー

Seed企業
↓
会社名・住所の正規化
↓
公式URL候補の発見
↓
公式ページの会社概要・グループ情報確認
↓
gBizINFO・公的情報との法人番号照合
↓
本店・支店・旧住所・グループ関係の分類
↓
Verified / Manual Review / Conflict
公式サイトを見つけただけでは、法人番号の結合完了とは扱いません。公式サイトの会社名・所在地・事業内容と、公的情報の法人名・住所を照合してから会社IDへ紐付けます。
実際に起きた5つのパターン
1. 親グループの住所と子会社の本店住所が違う
キチナングループの公式会社概要には、グループ本社の情報とグループ会社一覧があります。一方、キチナントランスポートの公式ページには、対象法人の会社名・周南市の住所・事業内容が掲載されています。
Seedに親グループ本社の住所が入っていても、子会社の法人情報と混ぜてはいけません。親グループ、子会社、実際の本店住所を別の項目で保存します。
2. 旧住所と現住所を混同する
JESCOホールディングスの公式会社概要は現在の本店を東京都港区赤坂と記載しています。一方、公開有報には過去の本店所在地が記載されている場合があります。
この場合、旧住所を誤結合と即断せず、address_historyとして観測時点とともに保存します。現在住所と過去住所を上書きしてはいけません。
3. Seed住所が支店、法人番号は本店住所
JEMIXの公式会社情報では、兵庫県の本社・工場と東京都目黒区の東京支店が別々に記載されています。
Seedが東京支店を起点に作られていても、法人番号の本店住所は兵庫県になることがあります。この場合は、branch_addressとregistered_addressを分け、支店所在地を理由に別法人へ結合しません。
4. 同名企業が複数存在する
ファステック株式会社には、京都の建設会社、茨城の製造会社、熊本県の清掃・設備管理会社など、同名の別法人が確認されます。
京都のファステック、茨城のファステック、熊本県の法人番号9330001011112を同一企業として扱うことはできません。
同名企業の判定では、会社名の一致は候補発見の条件に留め、住所、代表者、電話番号、事業内容、法人番号の一致を追加確認します。
5. 会社名は同じでも業界が違う
株式会社アクティスの公式会社概要は、東京都千代田区を本社とするソフトウェア・通信系企業です。Seed側の愛知県豊田市の設備関連企業とは住所・業種が一致しません。
同名だからといってIT企業の採用情報や従業員情報を設備会社へ結合すると、Research全体の分母と比較結果が壊れます。この場合は、同名異法人として明示的に分離します。
住所表記の違いは、どこまで許容するか
住所には次のような表記差があります。
| 表記差 | 扱い |
|---|---|
| 全角・半角数字 | 正規化して比較 |
丁目・番地・号の有無 | 正規化して比較 |
字・大字・のの有無 | 住所全体を確認して比較 |
| 建物名・階数の有無 | 登記住所の後方付加情報として確認 |
| 市区町村までしか一致しない | 自動結合しない |
| 支店と本店の違い | 支店関係Evidenceがある場合のみ紐付け |
| 親会社と子会社の違い | グループ関係として別Entityで保存 |
「住所の一部が一致した」だけでは、法人同定の十分条件になりません。会社名、電話、代表者、事業内容、公式ページの関係を合わせて判断します。
保存すべき状態
| 状態 | 意味 |
|---|---|
official_site_verified_and_crawled | 公式サイトを確認し、本文取得まで完了 |
official_site_verified_via_gbiz_address_match | 公式URLと法人名・正規化住所・法人番号が一致 |
official_site_verified_via_branch_match | 本店法人と公式支店ページの関係を確認 |
official_site_verified_via_historical_address | 旧住所・移転履歴を公的情報で確認 |
public_entity_verified_no_official_site | 公的Entityは確認したが公式サイト未特定 |
same_name_or_address_conflict | 同名・住所競合で自動結合不可 |
manual_review_required | 人間の追加確認が必要 |
page_unavailable | URL候補はあるがページ取得できない |
MissingはFalseではありません。公式サイトが見つからない場合も、official_site_exists = falseと断定せず、観測状態を保存します。
Researchで使ってよい結論の範囲
Entity Resolutionが完了した場合に言えるのは、原則として次の範囲です。
- 公式ページと法人情報を同じEntityへ紐付けた
- 本店・支店・旧住所の関係を記録した
- 同名異法人を分離した
- 公式ページ上の事業・採用・ニュースをその法人のObservationとして保存した
一方、Entityが同定できても、採用成功、労働環境、離職率、財務健全性、施工Capacityまでは自動的に推定できません。Entity Resolutionは分析の入口を正しくする工程です。
FAQ
法人番号がない企業はResearchから除外しますか?
除外しません。公的Entityが確認できない場合はunknownまたはmanual_review_requiredとして残し、公式サイトのEvidenceだけを仮のObservationとして扱わない設計にします。
グループ会社の公式ページは一次情報ですか?
グループ関係を示す一次的な企業情報として利用できます。ただし、子会社の法人番号・本店住所・事業内容を確定する場合は、公的情報や子会社自身の会社概要も合わせて確認します。
住所が少し違う場合、どの住所を採用しますか?
Seed住所を上書きしません。Seed住所、公式住所、登記住所、旧住所、支店住所を別フィールドに保存し、観測日時とEvidenceを付けます。
Sources
- gBizINFO API
- AIGENT ACE Research Hub
- 設備工事会社250社の公開情報Pilot
- キチナントランスポート公式グループ会社ページ
- JESCOホールディングス公式会社概要
- JEMIX公式会社情報
- アクティス公式会社概要
- 熊本県のファステックに関する公開企業情報(Baseconnect)
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