要点:兵庫県の設備業界を統計で整理。1社あたり延床32,087.7㎡(全国12位)・電気工事士求人倍率3.35倍・築20年超比率64.7%など県値を表で示し、保守需要圧迫全国23位の内訳と経営打ち手を解説します。
- この記事の結論
- 1. 兵庫県の設備業界需給:職種別の求人倍率・賃金・従事者数・平均年齢
- 2. 兵庫県の設備業者数と老朽ビルストック
対象読者:業界別の課題を持つ経営者・現場責任者

この記事の結論
Answer: 兵庫県の保守需要圧迫スコアは35.0で全国23位。最大のドライバーは業者負荷(45.8・全国12位)で、1社あたり延床32,087.7㎡は比較5県で最大。一方、労働需給スコアは17.8(全国35位)と5県で最も軽く、「人手より体制が先に張りつる」構造。
兵庫県は設備保守需要圧迫指数(2026年)で全国23位です。特徴は構成要素の非対称にあります。老朽ビルを設備業者で受け止める負荷を示すスコアは45.8で全国12位と高い一方、職種別求人倍率を集約した労働需給スコアは17.8で全国35位と、今回比較対象とした5県(兵庫・愛知・京都・北海道・大阪)で最も低い。つまり兵庫は「求人倍率の数字だけ見れば他県より採用しやすいが、1社あたりの保守担当面積が大きく、現場のキャパシティが逼迫しやすい」県です。電気工事士3.35倍・ビル施設管理0.53倍という数値にもその緩さが現れています。本稿では需給・業者数・老朽ストック・スコア内訳を県値で示し、体制側の限界に備える打ち手まで整理します。
1. 兵庫県の設備業界需給:職種別の求人倍率・賃金・従事者数・平均年齢
厚生労働省「job tag」加工統計(2025年)による兵庫県の職種別需給です。
| 職種 | 求人倍率 | 求人賃金(月額) | 従事者数 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 電気工事士 | 3.35倍 | 295,500円 | 15,350人 | 40.0歳 |
| 配管工 | 10.72倍 | 303,000円 | 8,100人 | 40.6歳 |
| 建築施工管理技術者 | 6.92倍 | 349,500円 | 10,250人 | 48.3歳 |
| ビル施設管理 | 0.53倍 | 247,500円 | 7,210人 | 36.9歳 |
出典: 厚生労働省・job tag職業別統計データ(2025年、兵庫県行の加工値)
読み取りのポイントは3点です。
- 配管工10.72倍のみが突出:電気3.35倍・施工管理6.92倍と職種間の差が大きく、配管以外は5県比較で相対的に緩い水準です
- ビル施設管理は0.53倍:求職者の方が求人より多い(1倍未満)ことを示し、5県で2番目に低い数値です
- 年齢構成の両極: 施工管理48.3歳(5県最高齢)とビル施設管理36.9歳(5県最若年)が同居し、職種によって育成期間の設計が全く異なります
全国の職種別統計との比較はビルメン 人手不足の統計で、賃金の47県順位は電気工事士の求人賃金都道府県ランキングで確認できます。
2. 兵庫県の設備業者数と老朽ビルストック
兵庫県の設備工事業者数(2024年)と建物ストックの老朽化(2023年)です。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 設備工事業者数(電気・管・機械・消防・通信の合計) | 3,602社 |
| 対象建物の延床面積の合計 | 11,558.0万㎡ |
| 築20年超比率 | 64.7% |
| 築30年超比率(1990年以前建設proxy) | 42.7%(全国24位) |
| 築40年超比率 | 27.3% |
| 築30年超の延床面積 | 4,938.2万㎡ |
| 築40年超の延床面積 | 3,153.6万㎡ |
| 設備業者1社あたり延床面積 | 32,087.7㎡(全国12位) |
出典: 国土交通省建設工事施工統計(兵庫県の業者数・2024年)、法人土地建物基本調査(兵庫県の建物ストック・2023年)の加工値
兵庫県の電気・管・機械・消防・通信ごとの業者数内訳は公表されておらず、本表は合計3,602社で構成しています。築30年超・40年超は1990年以前・1980年以前建設とみなす保守的なproxy値です。
兵庫の注目点は築20年超比率64.7%(比較5県で最高)です。まだ築30年超(42.7%)に分類されていない建物の多くが今後10年で更新・本格保守の対象に入るため、1社あたり32,087.7㎡という大きめの受け持ち面積がさらに重くなる可能性を統計は示唆しています。老朽ビル比率の47県順位は築30年以上の法人建物が多い都道府県ランキング、1社あたり受け持ち面積で見た供給の薄い県は設備会社不足地域ランキングで確認できます。

3. 保守需要圧迫スコアの内訳:兵庫は業者負荷が全国12位
設備保守需要逼迫指数(2026年)における兵庫県の構成です。
| 項目 | スコア | 全国順位 |
|---|---|---|
| 保守需要圧迫スコア(総合) | 35.0 | 23位 |
| 労働需給スコア(labor_opening_ratio_score) | 17.8 | 35位 |
| 老朽ビル負荷スコア(aged_building_load_score) | 37.5 | 24位 |
| 業者負荷スコア(equipment_supplier_burden_score) | 45.8 | 12位 |
兵庫を全国23位に押し上げているのは業者負荷(45.8・全国12位)です。延床11,558.0万㎡を3,602社で受け持つ構造が1社あたり32,087.7㎡(全国12位)という数値に表れています。老朽ビル負荷(37.5・全国24位)は総合順位と同水準。一方、労働需給(17.8・全国35位)は3指標で最も低く、兵庫の逼迫が「人」ではなく「体制」側にあることを裏付けます。スコアの算出定義は設備保守需要逼迫指数を参照してください。

4. 兵庫県ならではの文脈:体制側の重さと職種間の格差
第1に、兵庫は「業者あたりの保守面積」が重い県です。11,558.0万㎡の延床に対して設備業者は3,602社。1社あたり32,087.7㎡は全国12位で、比較5県(愛知30,512.9㎡・北海道30,955.5㎡・大阪23,910.0㎡・京都22,371.2㎡)の中で最大です。同じ「老朽ストックを保守する」でも、兵庫の設備会社は他県より広い面積を平均的に担当している計算になり、点検・訪問・報告の稼働密度が構造的に高まりやすい数値です。
第2に、労働需給は職種によって全く様相が異なります。配管工だけが10.72倍と高止まりし、電気工事士は3.35倍、ビル施設管理は0.53倍と求職者超過側。さらに施工管理の平均年齢は48.3歳と5県で最も高く、ビル施設管理は36.9歳と5県で最も若い。「配管は確保難、施工管理は代替育成が急務、ビル施設管理は応募はある」——採用施策を職種ごとに切り替える根拠が揃う県です。
第3に、県内の設備工事業は中規模市場です。2024年の完成工事額は11,362.6億円、建設業従事者数は45,338人、付加価値額/人は685.6万円で、いずれも比較5県では大阪・愛知に次ぐ水準。元下比率は46.2%です。築40年超の延床は3,153.6万㎡あり、体制が張りつる前に老朽ストックの点検・更新計画を組めるかが兵庫の設備会社の中期的な経営課題と言えます。
5. ビルメン・設備会社経営者への打ち手
兵庫のように「業者負荷だけが重い」県では、人材採用よりも業務容量の設計が先です。
- 担当面積あたりの稼働を可視化する: 1社あたり32,087.7㎡(全国12位)は平均像であり、自社の受け持ちストックの築年構成(20年超64.7%の波の到来)を先に把握することが計画の起点です
- 配管職種のみ採用集中投資: 10.72倍の職種で既存求人のままでは集まりません。賃金幅・手当・定着データの開示レベルを採用情報開示スコア簡易診断(無料)で確認し、配管行だけ改善するのが効率的です
- 巡回・点検・報告の省人化: 広い受け持ち面積を少人数で回す業務構造にこそAI省人化が効きます。点検写真の整理・報告書作成・訪問スケジューリングから自動化余地を測るにはAI省力化投資診断(無料)を使ってください
採用の質を職種別に設計する方法の詳細はビルメンの人手不足はなぜ解けないで解説しています。
よくある質問
Q. 兵庫県の「1社あたり延床32,087.7㎡(全国12位)」は何を意味しますか?
対象建物の延床面積の合計(11,558.0万㎡)を設備工事業者数(3,602社)で割った加工値です。老朽ストックをどれだけ薄い業者数で支えているかのproxyであり、数値が大きいほど1社あたりの保守負担が重いことを示します。兵庫は全国47都道府県中12位で、比較5県では最大です。
Q. ビル施設管理の求人倍率0.53倍は人手不足ではないということですか?
求人倍率が1倍未満なので、統計上はハローワーク求人に対して求職者の方が多い状態です。ただしこれは兵庫のビル管理職種全体の話で、資格・勤務地・シフト条件によって個社の採用難易度は変わります。平均年齢36.9歳(5県最若年)である点も含め、採用より定着設計に投資するのが合理的な職種です。
Q. 築20年超比率64.7%が5県で最高というのは、老朽化が一番進んでいるということですか?
いいえ、尺度が違います。築30年超比率は42.7%(全国24位)で、老朽化の進行度そのものは兵庫が最高ではありません。築20年超には21〜30年の建物も含まれるため、64.7%という数値は「今後10年前後で築30年超に移行するストックが厚い」ことを示し、将来の保守需要の波を測る指標として読みます。
まとめ: 全国23位・体制側(全国12位)が先に逼迫する県
- 兵庫の保守需要圧迫スコアは35.0で全国23位。ドライバーは業者負荷45.8(全国12位)
- 1社あたり延床32,087.7㎡は比較5県最大。築20年超64.7%も5県最高で需要の波が接近
- 労働需給は17.8(全国35位)と5県最低。配管10.72倍のみ突出し、ビル施設管理は0.53倍
- 施工管理48.3歳(5県最高齢)への育成代替と、点検・報告の省人化が優先度の高い打ち手
全国データとの関連
兵庫県の数字を受注エリアの判断に使うときは、築30年超=1990年以前建築というproxyの扱いやスコアの相対値である点まで確認してください。統計の層分けと限界の読み方は「設備業界データの読み方」にまとめています。
参考文献・出典
- 厚生労働省・job tag職業別統計データ(2025年): 電気工事士・配管工・建築施工管理技術者・ビル施設管理
- 国土交通省建設工事施工統計調査第8表(設備工事業・2024年): e-Stat
- 総務省法人土地・建物基本調査令和5年第535表: e-Stat
- 上記は県別データセット(data/final/prefecture_pages_dataset_2026-09-29.json)の加工値。順位・スコアは設備保守需要逼迫指数の定義に依拠
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