要点:福岡県の設備業界を公的統計で整理。ビル施設管理の求人倍率0.91倍・平均年齢49.1歳・求人賃金224,500円、設備業者4,498社、築30年以上比率39.0%の実数と総合44位の内訳を示します。
- 1. 職種別の需給:配管工8.49倍とビル施設管理0.91倍の分離
- 2. 設備業者数と老朽ビル:9,288万㎡を4,498社で支える
- 3. 保守需要圧迫スコアの内訳:3要素が横並びの44位
対象読者:業界別の課題を持つ経営者・現場責任者

結論: 福岡県の設備保守需要圧迫スコアは15.8点で全国44位と下位ですが、その内訳は「どこにも極端な歪みがない」均した形です。人材需給40位・老朽建物42位・設備業者負荷41位と3要素が横並びで、総合順位を動かす突出要因がありません。一方で職種を開くと、配管工8.49倍という技能職の引き締まりと、ビル施設管理の求人賃金224,500円・平均年齢49.1歳という低賃金・高齢化の併存——この職種間の格差こそ福岡の実態です。
以下、職種別需給 → 業者数と老朽ビル → スコア内訳 → 福岡ならではの文脈の順に実数を並べます。
1. 職種別の需給:配管工8.49倍とビル施設管理0.91倍の分離
厚生労働省job tag(2025年)の福岡県値です。
| 職種 | 求人倍率 | 求人賃金 | 従事者数 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 電気工事士 | 3.09倍 | 27.5万円 | 16,140人 | 40.6歳 |
| 配管工 | 8.49倍 | 27.9万円 | 8,840人 | 39.8歳 |
| 建築施工管理技術者 | 4.85倍 | 34.1万円(340,500円) | 10,050人 | 45.0歳 |
| ビル施設管理 | 0.91倍 | 22.5万円(224,500円) | 6,550人 | 49.1歳 |
出典: 厚生労働省・job tag職業別統計データ(2025年)。県別データセット labor(福岡県行)。
ここから読み取れるのは賃金構造の特徴です。
- 技能2職種の賃金は27.5〜27.9万円と、後述する首都圏4県(31.7〜34.5万円)と3.8万円以上の開きがあります。それでも配管工は8.49倍と需給は引き締まっており、「賃金が低くても倍率が高い」地域市場の性質が表れています(電気工事士の県別賃金ランキングは電気工事士の求人賃金・都道府県ランキング、職種別の47県順位は設備人材不足が深刻な都道府県ランキングへ)。
- ビル施設管理は0.91倍で1倍を下回るうえ、求人賃金224,500円・平均年齢49.1歳。4職種の中で最も安く最も高齢です。全国のビルメン需給との比較はビルメン 人手不足の統計を参照してください。
- 配管工の従事者数は8,840人で、電気工事士16,140人の約55%。母数が小さい職種で8.49倍が出ているため、1人退職すると埋める労働量が相対的に大きくなります。
2. 設備業者数と老朽ビル:9,288万㎡を4,498社で支える
供給側に目を移します。2024年の設備業者数、2023年の法人所有建物の老朽化の福岡県値です。電気・管・機械・消防・通信別の内訳は県別では取得できないため、表は合計値のみで組んでいます。
| 指標 | 福岡県 | 全国順位 |
|---|---|---|
| 設備業者数(2024年) | 4,498社 | — |
| 法人所有建物床面積 | 92,878千㎡(約9,288万㎡) | — |
| 設備業者1社あたり床面積 | 20,648.7㎡/社 | 41位 |
| 築20年以上比率 | 59.5% | — |
| 築30年以上比率(proxy) | 39.0% | 42位 |
| 築40年以上比率(proxy) | 21.5% | — |
| 築30年以上の床面積 | 36,222千㎡ | — |
出典: 県別データセット companies / building_aging(福岡県行)。元は国土交通省建設工事施工統計(2024年・設備工事業)と法人土地・建物基本調査(2023年)。築30/40年比率は1990年以前建築を築30/40年以上とみなす保守的proxy。
築30年以上の床面積は36,222千㎡で、全体の39.0%を占めます。この比率は47県中42位と、建物ストックの高齢化が進んでいるとは言えない水準です。業者1社あたり20,648.7㎡/社も41位で、供給の受け皿自体は平均より厚めです。老朽ビル比率の47県順位は築30年以上の法人建物が多い都道府県ランキングで確認できます。

3. 保守需要圧迫スコアの内訳:3要素が横並びの44位
設備保守需要圧迫スコア(0〜100点・47県min-max相対値)の福岡県への分解です。47県の順位表は設備保守需要逼迫指数を参照してください。
| component | スコア | 全国順位 | 重み |
|---|---|---|---|
| 人材需給(4職種求人倍率平均) | 14.9点 | 40位 | 20% |
| 老朽建物負荷(築30年超床面積比) | 14.6点 | 42位 | 30% |
| 設備業者負荷(床面積÷業者数) | 18.1点 | 41位 | 25% |
| 総合(利用可能重み75%で再正規化) | 15.8点 | 44位 | — |
出典: 県別データセット national_rank(福岡県行)。AIGENT ACE計算による独自指数。
加重は14.9×0.20+14.6×0.30+18.1×0.25=11.9点を、利用可能重み0.75で割り直して15.8点。3要素の順位が40〜42位に集中しており、特定のリスクに備えるより「職種別の需給差」を見るほうが実務的です。

4. 福岡ならではの文脈:市場規模に対する職種間格差
第1に、福岡は九州最大級の設備市場です。完成工事額は1兆6,306億円(1,630,617百万円)、建設業従事者は56,689人、付加価値/人は796.4万円/人で、元下比率は48.3%。約9,288万㎡の床面積を4,498社がカバーする規模の市場でありながら、総合スコアは44位に留まります。建物が新しい県ではないものの老朽化が際立ってもおらず、業者数も相対的に十分——「逼迫指数が低い=市場が小さい」ではない典型例です。
第2に、賃金の天井と床の差が職種間で最大8.1万円あります。建築施工管理技術者34.1万円(340,500円)に対しビル施設管理22.5万円(224,500円)。配管工の平均年齢39.8歳と若い側にある一方でビル施設管理は49.1歳と9.3歳の開きがあり、同じ県内でも職種別の採用戦略を分ける必要があることが数値から言えます(ビルメン採用の設計論はビルメンの人手不足はなぜ解けないで解説しています)。
第3に、電気工事士の民間求人給与も相対的に低い水準です(次節の中央値24.6万円)。公的求人賃金27.5万円・民間中央値24.6万円という二重の低さは、県内の電気工事士採用が賃金競争ではなく労働条件の情報開示で戦える余地がある一方、賃上げ圧力を吸収する財源づくり(生産性向上)が経営課題になることを示します。
5. 電気工事士の求人給与:募集25件・中央値24.6万円
AIGENT ACE求人観測(eeji・求人ボックス)による福岡県の電気工事士求人の集計です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 求人件数 | 25件 |
| 給与統計の対象(月給表記・募集下限) | 17件 |
| 給与中央値 | 24.6万円 |
| 給与p25 | 22.0万円 |
| 給与p75 | 26.0万円 |
| 給与平均 | 24.5万円(245,153円) |
| 単位内訳 | 月給17件・年収7件・日給1件 |
出典: AIGENT ACE求人観測(eeji)による求人ボックスのスナップショット。ファイル記載のobserved_at=2026-09-22がデータセット生成日(2026-09-29)より未来の日付であるため、本稿ではこれを取得日ラベルとして扱い、確定した観測期間とは表記しません。前回観測(2026-09-14取得ラベル)は25件で、今回と件数は同じです。
p25〜p75のレンジは22.0〜26.0万円と4万円幅で、観測3県(東京30.0万円・神奈川29.3万円・福岡24.6万円)の中で最も中央値が低く、分布も狭いことが特徴です。年収・日給表記の8件分は件数集計にのみ含め、給与統計からは除外しています。
6. 経営者への打ち手
- 配管工8.49倍・母数8,840人の職種は、採用よりも「退職した1人をどう埋めるか」の業務設計が先です。お見積り・報告書の工数削減はAI省力化投資診断で定量評価できます。
- ビル施設管理22.5万円・49.1歳の職種は、賃金競争以外の訴求(勤務実態・定着データの開示)で母集団を作る段階です。採用情報の公開状況を診断するで現状を確認してください。
- 総合44位でも職種別の格差は大きいため、県平均ではなく自社が依存する職種の数字で計画を立てるのが原則です。
よくある質問(FAQ)
Q: 福岡県は設備保守需要の圧迫が低い(44位)のに、なぜ配管工の求人倍率だけ8.49倍なのですか?
A: 圧迫スコアの人材需給componentは4職種の求人倍率平均で計算するため、1職種の突出が平均で希釈されるためです。配管工の従事者数が8,840人と母数が小さいことも、倍率の高さに影響する構造です。
Q: ビル施設管理の求人賃金224,500円は、他県と比べて低いのでしょうか?
A: 本データセットの範囲では、観測した他都道府県の同職種より低い水準です(例: 東京都27.2万円)。0.91倍という倍率と合わせ、低賃金と高齢化(49.1歳)が併存する職種だと読めます。
Q: 築30年以上比率39.0%は、老朽化が進んでいないという意味ですか?
A: 47県中42位で、相対的には進んでいない側です。ただし床面積ベースでは36,222千㎡が該当し、保守需要の絶対量自体は小さくありません。
参考文献・出典
- 厚生労働省 job tag 職業別統計(電気工事士・福岡県値) – 福岡県: 求人倍率3.09倍・賃金27.5万円・従事者16,140人・平均年齢40.6歳(2025年)
- 厚生労働省 job tag 職業別統計(配管工) – 福岡県: 8.49倍・27.9万円・8,840人・39.8歳
- 厚生労働省 job tag 職業別統計(建築施工管理技術者) – 福岡県: 4.85倍・34.1万円・10,050人・45.0歳
- 厚生労働省 job tag 職業別統計(ビル施設管理) – 福岡県: 0.91倍・22.5万円・6,550人・49.1歳
- e-Stat 建設工事施工統計調査 – 福岡県: 業者4,498社・元下比率48.3%・完成工事額1兆6,306億円(2024年)
- e-Stat 法人土地・建物基本調査 令和5年 – 福岡県: 床面積92,878千㎡・築30年超39.0%(2023年)
全国データとの関連
福岡県の数字を職種別に読むときは、4職種の平均にするか特定職種に絞るかで順位の解釈が変わる点に注意してください。スコアと順位の計算定義は「設備業界データの読み方」で確認できます。
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