要点:電気工事施工管理技士は、国土交通省の施工管理技術検定(電気工事区分)に合格した電気設備工事の管理技術者です。1級・2級の違い、令和6年度からの第一次・第二次検定の仕組みと受験資格、合格率・合格者数、管工事施工管理技士や電気工事士との違いまでを、国の一次情報をもとに解説します。
- この記事の結論
- 電気工事施工管理技士とは
- 仕事内容:電気設備工事の現場を回す
対象読者:設備工事会社の採用担当者・経営者
この記事の結論
電気工事施工管理技士は、建設業法に基づく国土交通省管轄の「施工管理技術検定」の電気工事区分に合格した技術者です。1級は建設業法上の監理技術者または主任技術者に、2級は主任技術者になれる資格で、電気設備工事の現場を「計画 → 工程 → 品質・安全 → 完成検査」と一貫して管理する立場を担います。令和6年度から制度が変わり、第一次検定(学科・年齢だけで受験可)→ 実務経験 → 第二次検定(実地)の2段階になりました(出典: 建設業振興基金)。取り方は、年齢だけで受けられる2級の第一次検定から始め、現場経験を積みながら1級へ進むのが制度上の素直な流れです。管工事施工管理技士との違いは管理業務の「型」ではなく対象とする設備(電気か管か)にあり、電気工事士との違いは「工事をする技能か、工事を管理する立場か」にあります。
電気工事施工管理技士とは
電気設備工事(電力・照明・動力・通信などの設備をつくる工事)の現場で、施工計画の作成から工程管理、品質管理、安全管理、完成検査までを担う施工管理の専門職です。
資格としては、国土交通省の「施工管理技術検定」の電気工事区分にあたります。国土交通省の案内では、技術検定は土木・建築・電気工事・管工事・造園・建設機械・電気通信工事の施工管理の7種目に分かれる。各種目に1級と2級の区分があり、国土交通大臣の指定した試験機関が実施しています(国土交通省「技術検定試験について」、2026年9月11日取得)。電気工事区分の試験は、指定試験機関である一般財団法人建設業振興基金が実施しています。
資格を取ると何が変わるのか。国土交通省は「1級の技士は建設業法における監理技術者又は主任技術者に、2級の技士は同法における主任技術者になることができます」と説明しています(国土交通省「令和7年度技術検定の合格者数」、2026年9月11日取得)。監理技術者・主任技術者は、建設業法で現場への配置が定められる管理職のことです。なお、試験日程・受検手数料などの制度詳細は変わることがあるため、最新情報は実施機関と国土交通省の公式案内で必ず確認してください。
仕事内容:電気設備工事の現場を回す
仕事を現場の進行に沿って分解すると、次のようになります。
| フェーズ | やること | 電気設備工事での具体例 |
|---|---|---|
| 着工前 | 図面確認・施工計画の作成 | 単線結線図・設備図の読解、機器搬入計画、施工計画書の作成 |
| 工程・協力業者管理 | 工程表の作成と進捗管理 | 建築・空調など他職種との調整、停電時間を使う切り替え工事の段取り |
| 品質管理 | 検査・試験の実施 | 絶縁抵抗・接地抵抗の測定、通電確認、隠蔽前の検査、検査記録の整備 |
| 安全管理 | 危険予知・安全確認 | 活線近接作業・高所作業時の安全確認、KY活動 |
| 完成時 | 完成検査・引き渡し | 総合試運転への立会い、書類整理、維持管理資料の整備 |
つまり「配線をする仕事」ではなく「電気設備工事が計画どおり・安全に・高品質で完成するように、現場を回す仕事」です。電気設備は「動作する」までが工事のため、試運転での確認までが管理業務に含まれます。工場では生産ラインを止められる時間が限られるため、停電切り替えの段取りと他職種との調整が特に重要になります。
1級と2級の違い
制度面の違いを、国と実施機関の一次情報で確認した内容に沿って整理します。
| 比較項目 | 2級電気工事施工管理技士 | 1級電気工事施工管理技士 |
|---|---|---|
| 建設業法上の位置づけ | 主任技術者になれる | 監理技術者または主任技術者になれる |
| 第一次検定(学科)の受験資格 | 試験実施年度に満17歳以上となる者 | 試験実施年度に満19歳以上となる者(いずれも学歴・実務経験は不問) |
| 第二次検定(実地)の実務経験(新制度の代表区分) | 第一次合格後、実務経験3年以上 | 第一次合格後、実務経験5年以上。ほかに特定実務経験1年以上を含む3年以上、監理技術者補佐1年以上、2級第二次合格後の経験などの区分もある |
| 受検手数料(令和8年度) | 第一次・第二次 各7,900円 | 第一次・第二次 各15,800円 |
(出典: 一般財団法人建設業振興基金「令和8年度1級・2級電気工事施工管理技術検定のご案内」(2026年9月11日取得)/建設業法上の位置づけは国土交通省「令和7年度技術検定の合格者数」(同日取得))
注目すべきは2点です。1級は建設業法で監理技術者の配置が求められる工事の現場を任せられる立場であり、会社が大型・重要案件を請け負ううえで必要になりやすいこと。そして2級第二次合格後に実務経験(実務経験5年以上、または特定実務経験1年以上を含む3年以上)を積んで1級の第二次検定を受けられるなど、2級→1級の階段が制度として用意されていることです。どちらを取るべきかで迷う場合は、年齢要件が低い2級の第一次検定から始め、主任技術者として現場を任される経験を積み、最終目標を1級に置くのが制度上も無理のない進め方です。
受験資格と試験の仕組み(令和6年度からの新制度)

令和6年度から、試験は「第一次検定(学科)」と「第二次検定(実地)」の2段階になりました(出典: 建設業振興基金)。旧受検資格は令和10年度までの経過措置で申請でき、令和11年度以降は新受検資格のみです(建設業振興基金の公式案内、2026年9月11日取得)。
第一次検定(学科)は、1級は満19歳以上、2級は満17歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受験できます。学生や未経験者でも早い段階で学科に挑戦できるのが新制度の特徴です。
第二次検定(実地)には実務経験が要件になります。新受検資格の主な区分は次のとおりです。
| ルート | 1級の第二次検定 | 2級の第二次検定 |
|---|---|---|
| 自区分の第一次検定合格後 | 実務経験5年以上(または特定実務経験1年以上を含む3年以上、監理技術者補佐として1年以上) | 実務経験3年以上 |
| 他区分からの接続 | 2級第二次合格後、実務経験5年以上(または特定実務経験1年以上を含む3年以上) | 1級第一次合格後、実務経験1年以上 |
| 電気工事士ルート | 第一種電気工事士の試験合格・免状交付後、実務経験5年以上(または特定実務経験1年以上を含む3年以上) | 電気工事士試験または電気主任技術者試験の合格・免状交付後、実務経験1年以上(別途、第一次検定の合格が必要) |
ここでいう「特定実務経験」とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事について、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自らがその立場で行った施工管理の実務経験です(建設業振興基金の定義)。試験は第一次がマークシート方式の学科、第二次が記述式の実地で、出題科目の詳細は実施機関が公開する「受検の手引」で確認できます。
未経験からのなり方は「(1)電気工事士として現場で技能を身につける →(2)第一次検定(学科)に合格する →(3)施工管理の実務経験を積み第二次検定(実地)を受験する →(4)技士として管理業務の幅を広げる」が基本の流れです。施工管理職全体の仕事内容とキャリアパスは「施工管理とは?仕事内容・なり方・設備業界でのキャリアを解説」にまとめています。
合格率・合格者数
合格者数は国土交通省が公表しています。令和7年度は、電気工事施工管理が1級第一次10,290人・1級第二次6,607人・2級第一次6,435人・2級第二次2,600人、管工事施工管理が1級第一次9,224人・1級第二次4,360人・2級第一次8,839人・2級第二次3,776人でした。1級の合格者数は電気工事がやや多く、2級では管工事が多い構造が読み取れます(国土交通省「令和7年度技術検定の合格者数」、2026年9月11日取得)。
合格率は、実施機関の合格発表をもとに集計する受験情報サイト(CIC日本建設情報センター、2026年9月11日取得)によると、1級は第一次検定が令和7年度41.5%(受験24,821人)、第二次検定が69.6%(受験9,494人)でした。合格者数は国交省の公表値と一致しており、数字の整合を確認済みです。直近の令和8年度第一次検定は受験27,387人・合格9,947人で合格率36.3%と前年より低下しています。合格率は年度・区分ごとに変わるため、受験の判断では最新の公式発表を確認してください。
管工事施工管理技士・電気工事士との違い
管工事施工管理技士との違い
同じ施工管理技術検定の管工事区分です。管理業務の「型」は共通で、対象とする設備が違います。
| 比較項目 | 電気工事施工管理技士 | 管工事施工管理技士 |
|---|---|---|
| 対象となる工事 | 電力・照明・動力・通信などの電気設備工事 | 給排水・空調・プラントなどの配管を中心とする管工事 |
| 現場で見るもの | 配線・接地・絶縁抵抗の確認、通電・試運転 | 配管の勾配・支持・耐圧・隠蔽前検査 |
| 実施機関(指定試験機関) | 建設業振興基金 | 全国建設研修センター |
| 令和7年度の1級第一次検定合格者数 | 10,290人 | 9,224人 |
| 共通点 | 工程・品質・安全・完成検査という管理業務の枠組み、第一次・第二次の2段階構造は共通 | 同左 |
管理の型は互いに通じるため、電気から管へ領域を広げるキャリアも現場では見られます。ただし設備の専門知識(電気の法規・保安と、配管の規格・試験方法)は別物で、転領域の際は学び直しが必要です。管工事側の詳細は「管工事施工管理技士とは?仕事内容・なり方・電気との違い」で解説しています。
電気工事士との違い
電気工事士は経済産業省管轄の免許・資格で、電気工作物の「工事そのもの」を行うための技能資格です。一方、電気工事施工管理技士は国土交通省管轄の技術検定で、「工事を管理する」立場の資格です。両者はキャリアの前後につながっており、制度上も第一種電気工事士の合格・免状交付後の実務経験が1級の第二次検定の受験資格区分に組み込まれています。つまり技能を身につけた電気工事士が管理側へ進むルートが、公式に用意されているということです。第一種電気工事士の位置づけは「第一種電気工事士とは?第二種との違い」で解説しています。
キャリア・採用市場での位置づけ
私たちが関東の工場設備会社156社の採用情報を観測したところ、会社概要で1級・2級施工管理技士の資格保有を明示する会社が複数あり、施工管理技士の採用を明示する会社も複数見られました。※会社の特定を避けるため一般化した表現にしています。
観測の範囲では、小規模な会社ほど「1人で現場を統括できる人材」を欲しており、施工管理の資格と経験を持つ人は採用の軸になりやすい傾向がありました。電気設備は工場の生産に直結するため、管理できる人材がいることで請けられる工事の幅が変わる構造です。背景として、国土交通省は建設産業の人手不足への対応の中で、現場を管理・束ねる技術者の育成・確保を課題に位置づけています(国土交通省「i-Construction 2.0」)。
一方で、資格単体で評価が決まるわけではありません。採用の場面では「どの規模の現場を、どの立場で管理したか」が問われます。市場の見方は「施工管理の転職を成功させるには?市場の見方と確認すべきこと」、収入を決める要素は「施工管理の年収はいくら?」にまとめています。
よくある質問
Q. 1級と2級、どちらを取るべきですか?
段階に応じて使い分けるのが合理的です。第一次検定(学科)は年齢だけで受けられるため(2級は満17歳以上、1級は満19歳以上)、早い段階から最初の合格を狙えます。主任技術者として現場を任される立場を目指すなら2級から、監理技術者として重要工事の元請現場を担う立場まで視野に入れるなら1級が最終目標です。2級→1級の実務経験ルートが制度として用意されているため、いきなり1級を狙うか、2級から階段を上がるかは、経験年数と任されている現場の規模で判断してください。
Q. 電気工事施工管理技士の受験資格は?
第一次検定(学科)は学歴・実務経験を問わず、1級は満19歳以上、2級は満17歳以上で受験できます。第二次検定(実地)には実務経験が必要で、たとえば2級は第一次合格後に3年以上、1級は第一次合格後に5年以上(または特定実務経験1年以上を含む3年以上など複数の区分)。電気工事士からのルートも区分として定められています。旧受検資格は令和10年度までの経過措置で、自分がどの区分に当てはまるかは実施機関の公式案内で必ず確認してください(出典: 建設業振興基金)。
Q. 管工事施工管理技士と何が違いますか?
同じ国土交通省の施工管理技術検定の別区分で、管理業務(工程・品質・安全・完成検査)の枠組みは共通です。違いは対象とする設備にあります。電気は電気設備工事(配線・接地・絶縁の確認、試運転)を、管は配管を中心とする管工事(勾配・耐圧・隠蔽前検査)を担当します。実施機関も電気は建設業振興基金、管は全国建設研修センターと分かれます。1級は監理技術者または主任技術者、2級は主任技術者の要件に関わる点は同じです。
Q. 電気工事士との違いは?電気工事士から進めますか?
電気工事士は経済産業省管轄の技能資格で「工事そのもの」を行うための資格、電気工事施工管理技士は国土交通省管轄の技術検定で「工事を管理する」立場の資格です。進むことはでき、制度上も第一種電気工事士の合格・免状交付後の実務経験で1級の第二次検定を受けられる区分が用意されています。電気工事士として技能を積んだ人が管理側へ進むのは、設備業界で一般的なキャリアパスの一つです。
Q. 未経験から目指せますか?
なれます。現実的なのは、電気設備工事会社の現場職として入社し、電気工事士の資格を取りながら現場経験を積み、第一次検定から受験する流れです。第一次は年齢要件のみで受験できるため学習は早く始められますが、第二次には施工管理の実務経験が要件になるため、現場で先輩の管理業務に付いて学ぶことが重要です。資格取得支援制度を設けている会社も観測されており、入社前に制度を確認するのも有効です。設備業界の資格の全体像は「設備業界の資格ガイド」で整理しています。
参考文献・出典
- 国土交通省「技術検定試験について」(2026年9月11日取得)— 技術検定の7種目・1級2級の区分・指定試験機関
- 国土交通省「令和7年度技術検定の合格者数」(2026年9月11日取得)— 合格者数、1級・2級と監理技術者・主任技術者の関係
- 一般財団法人建設業振興基金「令和8年度1級電気工事施工管理技術検定のご案内」(2026年9月11日取得)— 1級の受検資格・特定実務経験の定義・受検手数料
- 一般財団法人建設業振興基金「令和8年度2級電気工事施工管理技術検定のご案内」(2026年9月11日取得)— 2級の受検資格・経過措置の期限・受検手数料
- CIC日本建設情報センター「電気工事施工管理技士の合格率まとめ」(2026年9月11日取得)— 受験者数・合格率の集計値(合格者数は国土交通省公表値と一致を確認)
- 国土交通省 プレス発表「i-Construction 2.0」 — 建設産業の人手不足・技術者育成の方向性
まとめ
電気工事施工管理技士は、国土交通省の施工管理技術検定(電気工事区分)に合格した電気設備工事の管理技術者です。1級は監理技術者・主任技術者、2級は主任技術者の要件に関わり、令和6年度以降は「第一次検定(年齢だけで受験できる学科)→ 実務経験 → 第二次検定(実地)」の2段階で目指します(出典: 建設業振興基金)。管工事施工管理技士とは管理業務の型を共有しつつ、対象とする設備が電気か管かで分かれます。電気工事士から管理側へ進むルートは制度としても用意されており、現場で管理を任される立場に進みたい人にとって、キャリアの中核になる資格です。
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