要点:受注の波に振り回される設備会社向けに、施工Capacity・見積確度・粗利を分けた受注予測の最小構成を解説。機会損失の数え方とSIerベンチマーク手法の移植手順つき。
- この記事の結論
- 1. 設備会社の売上予測が外れる3原因
- 2. 受注予測の最小構成:案件×確度×工数×単価
対象読者:設備工事会社の経営者・積算/見積担当者

この記事の結論
設備会社の売上予測が外れる原因の大半は、需要の読み違いではなくCapacity(施工能力)・確度(受注できる確率)・粗利(残る利益)の混同にあります。この3つを分けて測るだけで、予測は「勘」から「管理可能な見通し」に変わります。
- 予測の最小構成は「案件 × 確度 × 工数 × 単価」の一表から始める
- 施工Capacityは稼働・残業・外注の上限で測り、超えた分は「断る仕事」として記録する
- 機会損失は金額ではなく「断った仕事の記録形式」から数え始める
- SIer向けに公開したベンチマーク手法(JISA統計+CVR+ヒアリングの合成試算・分位は目安)は、設備版の作り方テンプレートとして転用できる
1. 設備会社の売上予測が外れる3原因
第一に、受注と売上の混同です。受注は「取った仕事」、売上は「完了・検収した仕事」です。工期の長い設備工事では、受注の山がそのまま売上の山になりません。
第二に、Capacity無視の積み上げです。営業が積んだ案件見込みに対し、現場の稼働・残業上限・外注余力を当てはめていないと、予測は「取れたらいいな」の希望になります。
第三に、粗利の不透明さです。受注額が見えても、外注費・手戻り・事務負荷を案件単位で把握していなければ、忙しいのに利益が残らない事態になります。詳しい枠組みは受注があっても成長しない構造と人手が足りないのに売上が伸びない原因で整理しています。
2. 受注予測の最小構成:案件×確度×工数×単価
最初からシステムは要りません。表を一つ作ります。
| 項目 | 記録内容 | 例 |
|---|---|---|
| 案件 | 顧客・工事種別・規模 | A工場の空調更新 |
| 確度 | 受注できる見込み | 70%(お見積り提出済み) |
| 工数 | 必要な人工・期間 | 電工2名×10日 |
| 単価 | 請負額・実行予算 | 800万円/実行650万円 |
確度の付け方は最初は粗くて構いません。「お見積り提出済み=70%、現調済み=50%、引合のみ=20%」のような社内ルールを決め、全員が同じ物差しで付けることが重要です。
3. 施工Capacityの測り方:稼働・残業・外注の上限
Capacityの上限は3つで決まります。
- 稼働: 月あたりの実働人工(現場ごと・人ごと)
- 残業: 法定・36協定の上限と、持続可能な実務上限
- 外注: 頼める協力会社の余力と、外注費率
予測表の工数合計がこの上限を超えたら、その分は「受注しても回せない仕事」です。無理に受けず、断る・ずらす・外注するの判断材料にします。Capacity全体の考え方は設備工事会社の受注Capacityにまとめています。
4. 機会損失の数え方:断った仕事の記録形式
機会損失は最初から金額で数えようとすると挫折します。まず記録形式だけ決めます。
- 断った日・顧客・工事種別・概算規模
- 断った理由(Capacity不足/採算が合わない/対応不可の工種)
- 3か月後に見返す欄
この記録が3か月分たまると、「どの工種を断っているか」「いくら取りこぼしているか」が見えてきます。記録の設計は機会損失の枠組みを参照してください。
5. お見積り確度を上げる入力設計
確度を上げる近道は、お見積りの入力を標準化することです。たたき台(過去の類似案件の内訳)を出し、見直しポイント(外注費・諸経費・リスク分)をチェックする順序を固定します。お見積りまわりの整理は設備の見積AI活用も参照してください。
6. 粗利予測:実行予算と外注費の連動
受注予測と同時に、案件ごとの実行予算(自社施工分+外注費+経費)を並べます。受注確度×(請負額−実行予算)が、その案件の「期待粗利」です。期待粗利の合計が会社の固定費を上回るかが、予測の最終チェックになります。
7. SIerベンチマークの手法を設備に移植する
当社は中小SIer向けに、JISA基本統計調査の財務データ・B2Bマーケティング調査のCVR・現場ヒアリングを組み合わせた独自試算(問い合わせ平均25件・中央値8件など、詳細は中小SIerベンチマーク)を公開しています。重要なのは数値そのものではなく、単一調査の引用ではなく複数根拠の合成+分位は目安と明示するという作り方です。設備版も同じ手順で作れます。
調査予定: 設備工事会社の受注確度・機会損失の集計は現在進行中です。n=社内案件ベースの診断ログ集計に限定し、公開時は分母・期間・定義を明示します。具体の数値は現時点で公開していません。
8. デモ・シミュレーターで触る
数字の感覚は、触って掴むのが早い道です。
- 売上予測シミュレーター:売上予測の操作感を確認できます
- 売上予測AIデモ:AIによる予測の実装イメージを確認できます
- 料金シミュレーター:自社の開発・運用コスト感を30秒で試算できます
- 機会損失の診断:自社の取りこぼし構造を確認できます
9. よくある質問
Excelで十分な規模の線引きはどこですか?
月10件未満の案件管理なら、第2章の一表をExcelで回すのが最速です。案件が増えて確度の更新が追いつかなくなったら、共有・自動化を検討します。
AIが要らない条件はありますか?
過去データが少なく、案件が毎回オーダーメイドの場合は、AIより先に記録形式の標準化が効きます。記録が3か月たまってから検討で遅くありません。
最初の一表は誰が作るべきですか?
お見積りと現場の両方が分かる人(多くは経営者自身)が雛形を作り、運用は事務・営業に渡す順序が定着しやすいです。

関連する診断・資料
参考文献・出典
- 一般社団法人 情報サービス産業協会「基本統計調査」
- 当社独自試算: 中小SIer向けベンチマーク(JISA基本統計調査の財務データ・B2Bマーケティング調査のCVR・現場ヒアリングの合成。分位は目安)
フルスクラッチ開発との単純比較ではなく、自社標準の積算(直請・再利用前提)との比較で費用を抑える設計です。※削減率は案件の要件・既存資産の流用可否により大きく異なり、特定率を保証するものではありません。積算前提は料金シミュレーター・/price-list/の算定条件をご確認ください。自社の規模や自動化したい業務を選択するだけで、想定開発費用と手作業による工数削減効果をその場でシミュレーションできます。